家族の多様性を認めることが大切
介護業界の中でも、特に家族と関わるのがケアマネージャーです。家族との関わりは単純に言えば、相手にする人数が増えるほどに難しくなるといえるでしょう。利用者一人のアセスメントでも大変なのに、意見をする人数が増えれば、それだけ作業が大変になるのも当たり前です。その上、家族との関係性にも配慮し、利用者本位の理念を果たさなければなりません。
本来、家族とは夫婦や親子、兄弟姉妹など少数の近親者を主要な構成員とし、成員相互の深い感情的な包括で結ばれた、第一次的な福祉追求の集団であると家族社会学では定義されています。互いの幸せを願って助け合うのが家族というイメージがあるかもしれませんが、介護という問題に直面したとき、ケアマネージャーにとって、家族の言動や行動に疑問を投げかけたくなる機会が多々あるのも事実です。理解し難い家族とどう関わるべきかと頭を悩ませる人も多いものです。
ケアマネージャーに限らず、介護などの介助に関わる者というのは、少なからず自分自身の持っている価値観から家族はこうあるべきという理想像を描いている傾向があります。しかし、現実は想像するような理想的な家庭ばかりではありません。仕事をする上では、理想の家族像をいったん外において、目の前にいる家族のありのままを見ようとすることが大事になってきます。これができなければ、自分の価値観で利用者家族を審判してしまい、感情が揺らいで本来の仕事の目的を失ってしまいかねません。
すべての家族に対して適切な判断をするためには、多様性を認め、援助者の家族イメージを離れる、そして決め付けずに柔軟に対応することや他職種からの情報を活用することが重要です。利用者の家族との付き合い方に悩んでいる人は、まずは家族のありのままを見つめているかどうか、そして自分自身をチェックすることをはじめる必要があります。